ゴンドワナ 世界遺産

世界遺産 オーストラリア
ゴンドワナ多雨林群を代表する国立公園

南半球最大のカルデラ3つの国立公園の地形の成り立ち

ゴールドコースト周辺の地形は劇的なそして激しい歴史を持って誕生しました。それは数百万年もの年月をかけて作り上げられていったものであり、様々な性格を持つ地質へと変化していきました。今からおよそ2千2百万年前、クイーンズランド州の東南部の数か所で火山の大噴火があり、玄武岩の溶岩が大量に流れだしました。

 

その火山の1つが、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州のちょうど境目に位置し、おびただしい量の溶岩を噴出し、ゆるい傾斜の巨大なドームを作り上げました。この巨大火山ツイード火山の最高点(中心部)が、現在のマウントウォーニングとなります。今は、海抜1157mですが、当時はその約2倍の2000mはあったと言われています。この火山活動はおそよ2千万年程前に停止しました。

 

溶岩は約5000平方キロメートルもの範囲を覆いつくし、その中心であるマウントウォーニングは火口の中心であったため、最も時間をかけて冷え固まり、周囲と比べても侵食や風化に耐えるほど頑丈な岩山となりました。そのマウントウォーニングを中心とし外輪山が形成され、もとは普通の火山帯であったが、侵食や風化により火口が大きく広がっていき「カルデラを形成」するかたちとなりました。

 

この外輪山に残る峰々がスプリングブルック国立公園であり、ラミントン国立公園ということになります。ゴールドコーストの内陸部から海岸線にかけての、なだらかでありながらも渓谷や滝、森林に恵まれた地形は、長年の火山活動が生んだものと言えます。

Springbrook National Park

スプリングブルック国立公園 / Springbrook National Park

1994年にユネスコ世界自然遺産に登録。ニューサウスウェールズ州のマウントウォーニングの外輪山の一部でもあり、様々な多雨林とユーカリの林から形成されています。国立公園は、3つの地区に分かれており、①スプリングブルック高原地区には、ベスト・オブ・オール展望台、パーリングブルックの滝、ブラックフェローの滝、ツインフォールの滝などの魅力の観光スポットが点在しています。②ナチュラルブリッジ地区は神秘的な光を放つ天然の土ボタルを見ることができる洞窟が代表的です。③マウントクーガル地区は、亜熱帯雨林の中を森林浴が楽しめるトレッキングコースが人気です。

Lamington National Park

ラミントン国立公園 / Lamington National Park

スプリングブルック国立公園とともにマウントウォーニングの外輪山の一部となります。ラミントンの由来は、当時のクイーンズランド州総督の名前から付けられました。グリーンマウンテン地区及び、ビナ・ブラ地区に分けられ、国立公園内の長距離ウォーキングトラック(平均1コース10~20km)が有名で総延長160kmに及ぶ距離となります。ツリー・トップ・ウォークと呼ばれる地上15m(最高30m)の高さにかかっている吊り橋も有名。両地区ともにリゾートがあるほか、キャンプサイトもあり宿泊が可能となります。

Wolonbin National Park

ウーランビン国立公園(元マントウォーニング国立公園) / Wolonbin National Park

オーストラリアでアボリジニの聖地といえば、エアーズロックの名で知られる「ウルル」が有名だが、マウントウォーニングも同様に聖地として、アボリジニの人たちに崇められてきました。
約2千万年の死火山で、このエリアに広がる南半球最大のカルデラ地形の中央にそびえるのがマウントウォーニング。
オーストラリア大陸で一番最初に朝日が当たる場所としても知られています。1800年代の木こりにより大規模な多雨林伐採が行われるまでは、常に山頂が雲で覆われていたためウーランビン(雲をつかんでいる山)と呼ばれていました。また、ウーランビンの意味は「山の長」という意味もあり、また、山の東側海岸線から沖合40kmまでは、浅瀬や溶岩が露出し船が座礁しやすい場所が多く、1770年5月15日、南から北上してきたキャプテンクックがこの山が見えたら注意しろという意味で「WARNING=警告」と名づけられました。現在は先住民の名称を優先しマウントウォーニング国立公園からウーランビン国立公園と名前が変更されました。